25年10月18日
9月29日(日曜日)と30日(月曜日)の二日間、東京で開催された「第70回日本母親大会in東京」に参加してきました。両日の参加人数は1万3千人で、2日目の国際フォーラム会場には9千人が参加しました。(写真をクリックすると大きくなります)
一日目は、「ICT教育の問題 破壊される公教育」の分科会に参加しました。ICTとは、I(インフォメーション=情報)C(コミュニケーション=通信)&T(テクノロジー=技術)の略称です。
ICTは、教師の専門的判断の下で適切に活用されれば、豊かな学びを生み出すツールといわれています。その反面、使い方によっては教師としての脱専門家を進め、代替するものとなります。
ICT教育にどう向き合うかを論議した分科会でした。
全国参加者の発言は、各地域の学校の実態、実情から新たな問題が起きていることを、いくつか具体例を挙げてみます。
本来、授業とは児童が色々な発想や考えを出し合い、みんなで議論し、教え合い、答えを導き出すものです。
教師は子供たちの発想や思考を授業の中で組み立てながら、児童と先生で創り上げていくものです。その中で根拠となるところをお互いに教え合い、補い合い、深めていくものではないでしょうか。それがだんだん薄められたり、失われたりしていくことは、ひいては授業の質の低下、子どもたちの学力の低下に繋がっていくことになりかねません。
二日目は、フリージャーナリストの布施祐仁氏の「戦後80年と不戦の決意 日本とアジアを再び戦場にしないために」と題した講演でした。
80年前、日本は戦争で多くのアジア人、日本人の犠牲を出し、世界初の原子爆弾が広島、長崎に投下され、沖縄が地上戦として戦火の海になったのです。このような多くの犠牲の下で平和を手にすることができました。
ところが、2015年に安倍内閣の下で「平和安全法」が可決・成立し、2016年に平和安全法制が制定されたことで、「一定の条件の下であれば集団的自衛権を行使できる」国に変質しました。これは「戦後」における大きな転換点でした。
そして、2022年の安保三文書の改定では、「日本国憲法の下で敵基地攻撃能力を持ってもいい」ということが明記されたのです。
それまでの防衛予算はGDPの1%であったものが、2027年には2%まで引き上げることになったのです。
その結果、僅か5年くらいの間に次々と南西諸島で基地が作られているのです。
一つには、種子島の西側にある無人島、鹿児島県馬毛島に基地が整備されています。佐賀空港に隣接して佐賀駐屯地を造り、今、自衛隊が持っている17機のオスプレイを全部ここに移していく計画です。
広島の呉市については、陸海空の3自衛隊が共同で使う複合防衛自営拠点を整備する構想があります。基地だけではないのです。自衛隊や海上保安庁が民間の空港・港湾の指定を円滑に利用できるように特、定利用空港・港湾の指定を行っているのです。既に500ヵ所以上が指定されています。そのうち自衛隊基地が一番多くなっているのです。
防衛体制を強化しながら、もう一方では戦争を想定した避難計画の作成をすでに始めています。具体的に作成しているのは、沖縄県の先島諸島の宮古島市、石垣島市、竹富町、与那国島町、多良間村です。
台湾有事を想定して、住民と観光客、合わせて12万人を九州と山口県へ避難させる計画を2〜3年前から進めてきているという報告がありました。12万人を6日間で避難できるだろうという計画です。沖縄本島の住民・観光客は130万人です。12万人を避難させるのに6日間かかっていますから、それと同じペースでは2ヵ月もかかります。有事には間に合わないので、沖縄本島は避難計画から除外されます。
しかも、今回新たに「特定臨時避難施設」というものが入りました。通称「避難シェルター」です。地震などではなく、軍事的有事の際に先島諸島で使う施設です。
今、アメリカ国防省は「日本を含むアジア同盟国は防衛費をGDP比5%まで上げよ」と言い出しています。
アメリカ軍の海外駐留軍人の数は全体の11%でしたが、今は30%を超えています。海外に駐留しているアメリカ軍人の3分の1は日本にいるのです。
その理由の一つは、対中国戦略の中で日本の位置が極めて重要であり、地理的な理由で日本を重視しているからです。
もう一つは、いわゆる「思いやり予算」で、他所の国では考えられないぐらいの優遇措置を与えているからです。できるだけ日本にお金を出させて、自衛隊をアメリカの世界戦略に組み入れれば、米軍の財政負担を減らしながら戦力を維持できます。だからアメリカは、日本にもっと防衛費を増やせということを執拗に言い出しているのです。
講演の中で布施氏は、「平和を望むなら戦争の準備ではなく、平和の準備をした方がいい」と加藤周一氏の言葉を引用して言いました。「抑止力」なんてものがあることで、かえって戦争を呼び起こすことになります。今、ロシアとウクライナの戦争真っ只中ですが、抑止力というものには歯止めがかかっていません。
布施氏はASEAN首脳会議(10ヵ国)についても取り上げていました。日本はASEANには加盟していません。ただ、1997年に「ASEAN+3」には日本、中国、韓国が参加しています。
インドネシアのルノト・マルスディス外相(女性)の言葉も示してくれました。
「このままでは中国と米国の対立となる。確かに米国は経済力も軍事力も群を抜いている。しかし、ここでの教訓として、「『競争』ではなく『協力』を。『ゼロサム』ではなく『ウィンウィン』の関係で。『封じ込め』ではなく『関与』の精神で」というASEAN首脳会議の目的をはっきりと明言したことに、対米従属の日本の政治を変えていくヒントをもらいました。
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